賃貸契約における信用情報【不動産トラブルを未然に防ぐ】

代表理事の草柳です。
私事ですが、20年ぶりに、賃貸住宅の契約を交わしました。
変わったことが多く、いろいろなお話しを伺う機会を得ました。
10年以上、メールで不動産相談を行ってきた立場として、今回得た学びを、皆様にシェアさせていただきます。
初めて賃貸を借りる方のご参考にしていただければと思います。

1.保証会社という壁

賃貸物件を借りるには、保証会社に入ることが条件になっているのが殆どですね。

この保証会社をいれるメリットとしては、
・オーナーさん(大家さん)

借主さんが家賃滞納があった時に、補填できるよう保証会社さんがいるので助かる。

入居するには、賃貸物件を借りる際に、まず、保証会社に審査を依頼します。
この審査に通った人だけが、契約できます。
通らなかった、非承認の方は、契約できませんし、借りれません。

これは、どういうことかといいますと、
・その保証会社の物件は、全て借りることが出来ない
・その保証会社を使っている不動産業者さんでは借りることが出来ない
ということになるんです。

たった一度の「審査」ですが、その後を分ける大きな重要ポイントになることを、あまり意識されていない方が多いような気がします。事実、何度やっても審査に通らない方は、一定数いらっしゃるようなのです。例えを書いてみますね。


2.保証会社の結果は絶対

Aさんは、気に入ったテラスハウスを借りようと、管理会社に内覧を希望し、実際に中を見せてもらい、非常に気に入りました。

保証会社さんの審査をしましょう、と申込書を書きます。
就職が決まっていたので、合格書をコピーしてお渡ししました。
しかし、いま現在、無職なので、年収や月給を書きませんでした。

「では審査に出しますね」
管理会社はコピーをくれませんでした。
心配になったので、
「今の口座の残高のコピーなど出さなくて良いですか?」
「それは、保証会社から求められたら出せば良いので今は不要です」
そうですか…。

その後、保証会社から電話が来ましたが、
「月給は幾らですが」「残高は幾らですか」と聞かれたので答えましたが、申込書には書いていませんでした。違うことを答えたのです。

結果、「非承認」審査は通過しませんでした。

Aさんは、「もう一回書き直して申し込みたい」「就職が決まっている会社の月給を書いて、口座残高のコピーを出せば、通過すると思う」と管理会社にお願いしてみたが

「二度出す人はいません」
「一度非承認になったら、同じ結果になります」
「うちは審査が通過した人にしか貸せないんです」
「オーナーさんが、この保証会社で審査通った人に貸してほしいというご要望なんです」
「うちはこの保証会社さんしかありません」
の一点張りで、再申込は断られてしまいました。

念の為、保証会社に連絡してみましたが
「内容については一切答えられない」
「審査結果は覆らない」
という見解でした。


3.物件ではなく人として

困ったAさんは、別の不動産業者に相談してみました。
不動産業者から頂いたアドバイスは以下。

★保証会社が調べているのは、
1.過去に、賃貸の滞納や不動産トラブルがないか
2.支払い能力があるのかどうか
3.系列会社(カードローンなど)でブラックになっていないか
ということ。

Aさんの場合、1と3は無いので、2が「無し」と判断された可能性が高いのではないか。
就職して、月、幾らもらえるのかの根拠、証拠がなければ、本当に払えるのか、保証会社にはわからない。合格通知だけなら幾らでも偽造出来るので、補足資料は必要だったと思う。

アドバイスをいただいたAさんは、
ではそれを揃えて、再度、あのテラスハウスを申し込みたい。御社では出来ないか?質問します。

「それは出来ません」
「なんで結果がわかっているのに、また申込ませるの?と喧嘩を売ってることになる」
「うちとその管理会社さんだけなら、それでもいい。ただ、管理会社がAさんに余計な不信感を抱くと思う」
「管理会社さんとAさんの信頼関係が壊れると思う」

極めつけは
「本当に、この人に、この物件を貸したいと思うなら、オーナーさんとのお付き合いもあるでしょうから、審査が通るように、出来る限りの手を尽くすはずです。それが管理会社の仕事です。それが今回無かった、ということは、管理会社さんとしては、貸したい人ではなかった、ということになります」

Aさんは青ざめてしまいました…。

調べもせずに、保証会社の審査を、甘く、軽く考え、申込内容を慎重に吟味することなく曖昧なまま提出し、コピーをもらうことも怠りました。

結果、希望の物件は借りれず、保証会社には「非承認」という個人情報が残ってしまう残念な結果となってしまいました。
今後、その保証会社が扱う賃貸物件と、その管理会社では、賃貸物件は二度と借りることが出来ないのです。目には見えないけれど、大きな「制限」を、自らの不注意で、作らなくても済んだかもしれないのに、作ってしまったのです。

ことの重大さに気づいたときには、後の祭りでした。


4.保証会社は幾つかある。きちんと相談を。

どうでしょう?例え話ですが、イメージいただけたでしょうか。
管理会社によっては、保証会社は一社だけのところもあれば、数社揃えているところもあります。保証会社によって、厳しい審査のところもあれば、どこを重視するか差があります。
より詳しい管理会社、不動産会社さんを選びましょう。

もし、一度でも「非承認」になったことがある方は、必ず、誠実に事実を伝えるべきでしょう。管理会社や不動産業者さんは、支払える根拠が明確ならば、借りれるように尽力いただけることが多いです。

審査が通るように、必要な書類を一緒に調べて考えてくれたり、書き方も、「ここはコレを書いてください(そのほうが、保証会社としても判断しやすい分かりやすい)」などご指導いただけるところも多いです。

賃貸物件契約は、保証金など初期費用負担が非常に大きいです。
大きなお金が動きますので、まさに
自分とオーナーさんと管理会社さんと保証会社さん…の相互の関係性
「払い続けられるかどうか=信用できるか、信頼できるか」の問題になります。

気持ちよく、暮らしていくための第一歩として。
入居する前の、保証会社の審査から、誠実で安心してお願いできる業者さんを選びましょう。
大前提として、自分自身が、この人なら貸したい、貸しても良いと思ってもらえる、信用、信頼いただける、誠実な人であることが、何より最も大切です。